オリジナル

■ストーリー古びた雑居ビルのエレベーター。カタカタ揺れる箱の中で、私は‘平成のエレベーターガール’として今日もお客様を迎えていた。――はずなのに。「…おっと、閉じ込められたみたいだな」突然の停止ボタン。出会って5秒、彼はあっさりと距離を詰めてきて、制服の袖を軽く引く。密室、二人きり、沈黙を埋めるのはやけに近い吐息。心臓が早鐘を打つのは、きっと古い機械...

■ストーリー冷房の効いた図書館は、外の蝉時雨と無縁の静けさ。けれど隣に座った彼の視線が、熱を帯びた夏を思い出させる。ページをめくるたび、指先がかすかに触れ合い、心臓がドクンと鳴る。その音が静まり返った空間に響いてしまいそうで、余計に恥ずかしい。机の下では足先が重なり、視線を逸らすと耳まで赤くなる。勉強のはずが、文字よりも彼の横顔ばかり追いかけてしまう――。...

■ストーリー冷房の効いた図書館は、外の蝉時雨と無縁の静けさ。けれど隣に座った彼の視線が、熱を帯びた夏を思い出させる。ページをめくるたび、指先がかすかに触れ合い、心臓がドクンと鳴る。その音が静まり返った空間に響いてしまいそうで、余計に恥ずかしい。机の下では足先が重なり、視線を逸らすと耳まで赤くなる。勉強のはずが、文字よりも彼の横顔ばかり追いかけてしまう――。...